ロシア科学 シーズカタログ

ロシア科学アカデミー シベリア支部は、
ノボシビルスク、イルクーツク、ブリヤート、ケメロボ、クラスノヤルスク、オムスクトムスク、ヤクート
にある57の研究所により構成されています。
ノボシビルスクには、このうち30の研究所とシベリア支部の本部がにあります。

Cata1 ロシア科学アカデミーシベリア支部は、
これらの研究所の最新研究成果をカタログ化して一般公開しています。

カタログは11のテーマ(注1)からなり、
内容は
 研究所名、所在地、連絡先、
 研究タイトル、概要、利点、提案

が短くまとめられています。

 Cata2 提案には例えば、
 ・ 量産のために需要者及び投資家を探しております。
 ・電子加速装置を提供しております。
 ・供給、ライセンス販売、仕様書の販売、協同製造、販売及び操業。

など、具体的な記述があります。

2005年から英語版のカタログが出されています。
専門用語が多く、しかも説明が短いので、英語版から概要を掴むのは難しいです。

ちょっとデータが古いですが、2003年のロシア語版の日本語訳があります。
日本語で研究対象分野が分りますので、ご参考にしていただけたらと思います。
(ちなみに、ロシア語から日本語への翻訳はかなり難儀な作業でした。私とロシア人翻訳者と科学に詳しいロシア人の三人で格闘しました。不自然な日本語もありますが、あえてロシア語の意味を重視した直訳にしましたので、ご了承ください。)

(注1)カタログのテーマ
1. Ecology
2. Medicine
3. New Materials
4. Mechanical Engineering
5. Mining & Construction
6. Enegy Supply
7. Scientific Instrument Making
8. Computer Simulation
9. Chemical Technologies
910. Agricultural Industry
11. Baikal

ロシア科学アカデミーシベリア支部の英語サイト


Cata3_22007年は支部設立50周年にあたり、アカデムガラドクの町全体が リフォームされています。アカデミーの研究成果をモデル展示する展示会場も、鏡張りにリフォームされました。


Cata4 ノボシビルスクに来る機会があれば、ぜひ、アカデムガラドクまで足を伸ばして、ロシアの科学の現状を視察されることをおすすめします。


そのときは、私にも一声かけてくださいね。
日本のニュースも聞きたいですから。


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ノボシビルスク 9月の国際展示会

ロシアの夏も終わり。
ノボシビルスクでは9月から様々な国際展示会が予定されています。

<9月にノボシビルスクで開かれる展示会>
9月5~7日

 娯楽・レジャー、ホテル・レストラン展
 ギャンブリング機器、自販機、公衆アトラクションの国際展示会
 接客業、配膳業、レストラン取引

9月11~13日
 セキュリティ機器とテクノロジーの国際展示会

9月18~20日
 通信、コンピュータ、インターネット、エレクトロニクスの国際展示会

9月26~28日
 建設、建設機械と技術、道路建設の国際展示会

Image11
ノボシビルスクのSiberian Fair(Сибирская Ярмарка)の会場。
1階と2階が展示スペースになっている。
入場料は100ルーブル程度(約400円)。

2003年の統計によると、ノボシビルスクの「シベリア見本市(Siberian Fair)」は、
展示会数では「ロシア・CISで第2位」、出展者数では「ロシア・CISで第3位」
国際展示会、と銘打っているのは、ロシア、CIS諸国、中国、韓国の他、欧米企業
出展も多いからです。
(参照:http://www.newsys.co.jp/worldwide/sibfair.html

展示会では、企業出展の他、セミナー、コンクール、商談会、フォーラムなどが行われます。各テーマの同業者が一同に揃うので、ロシアでのパートナー探し、販路開拓、商品PRなどにはもってこいです。
テーマ別の企業イエローページのような企業カタログも入手できます。

日本企業の出展はまだ少ないのですが、これから増えていくことを期待しています。
現地サポートが必要でしたら、遠慮なくご連絡ください。

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仙台で科学アカデミー

今週、8月23日と24日、
東北大学にて、
ロシア科学アカデミー研究者の発表を含む
国際シンポジウムが開催されます。
Image01

詳しくは 公式案内ページ をご覧ください。

専門的すぎて舌がまわりそう・・・ですが、
とにかくおもしろそうなテーマをコピペしておきます。

8月23日 仙台国際センターにて
永久凍土における残留ガスハイドレート形成の可能性に関する研究
(モスクワ国立大学 地質学専攻)

ロシア北部のガスとガス凝縮物貯蔵地域おけるガスハイドレート制御
 (合資会社ノバテック)

幾つかの熱電素子用希土類化合物系について
(ロシア科学アカデミーシベリア支部 ニコラエフ無機化学研究所)

高効率熱電素子用新材料創製のための硫化希土類の詳細な評価
 (ロシア科学アカデミーシベリア支部 ニコラエフ無機化学研究所)

高効率熱電冷却モジュールの開発
 (ロシア科学アカデミーシベリア支部 ニコラエフ無機化学研究所)

低温熱の変換、貯蔵のための新複合吸収材料の研究
 (ロシア科学アカデミーシベリア支部 ボレスコフ触媒研究所)

細胞遺伝学研究所における生物学コンピュータシステム
 (ロシア科学アカデミーシベリア支部 細胞遺伝学研究所)

8月24日 専門分科会
 ・・・テーマが英語なので省略します。

8月25日 市民講演会
演題1. 露独考古学探検の現代的学際的研究(日本語通訳付)
     V.I.モロジン氏(ロシア科学アカデミーシベリア支部副総裁)

演題2. 輸入食品の安全確保を目指して ~検疫所の仕事~
  -輸入食品の安全がどうやって守られているか最前線からの報告-  毒島幸一氏(厚生労働省仙台検疫所食品監視課課長)

分野に関係のある方はもちろんですが、

●何かに行き詰まっている普通の人---全く違う世界を見れば気分が変わるかも

●科学者の卵(子どもから大学生)---学者という珍しい人種を生で見ることができる

このような方々にも、大変良い機会だと思います。

会場整理の都合があるので、聴講希望者は、事前に問い合わせ先に連絡をいれていただけると助かる、ということです。


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ロシア経済の動向

Economy_3

ロシア経済を概観するにあたり、過去7年間で、いかにものごとが変わったかを傍観してみよう。

1999年8月にプーチンが首相の座に就いたとき、国の外貨準備高は80億ドル以下にまで落ち込んでいた。一方、ロシアの負債は、国際通貨基金だけでも166億ドルに上っていた。完全な破産状態である。

7年後の今日、状況は全く異なっている。
2006年8月、ロシアの外貨準備高は2580億ドル。その他、石油安定化基金に650億ドルを持っている。 IMFには、差し当たり2500億ドル未満の総貸出資金があるが、ロシア政府は現在、1年あたり1700億ドルずつ外貨準備と安定化資金を蓄積している。実際、ロシアはいまや、世界最大の経常黒字国の一つであり、アメリカの経常赤字に対する最大の投資者の一つとなっている。

ロシア経済にとって、石油とガスが2つの柱となっている。7年にわたるプーチンの在職期間中、これらの価格はまさに高騰した。石油とガスからロシアに流れ込む富は膨大であった。原油輸出だけをとってみても、1999年の売上げが140億ドルであったのに対し、最新の四半期の売上げは1400億ドルである。

人々は「石油だけではない成長がある」と言う。小売、卸、消費物資、建設、不動産などの商業活動、つまり「非石油経済」も急成長している。

原油輸出収益以上に潤沢にロシアに流れ込むのが、外国から得られる石油とガスの使用料で、これが石油ガス以外のロシア経済を後押ししている。

資源企業は、利益の一部を国への税金や安定化基金に納めると同時に、利益のかなりの部分を地元の地方自治体やロシア国内企業への投資、あるいは国内企業への発注に使っている。国内への投資は必ずしも利益を生むとは限らないが、これは資源企業の社会貢献活動であり、企業が存続していくための「非公式の税金」といえる。

更に規模の大きい資源会社には、国の外交政策課題や戦略上の権益に利するような活動が求められる(それがビジネスとしての意味がなくても)。

1)公式の税金(税金、基金)
2)非公式の税金(地元自治体や企業への出資)
3)国の外交戦略への貢献

がロシアの資源会社の存続の条件であり、この仕組みの下でロシア経済全体が潤っているといえる。

この「使用料分配システム」を成功させたのがプーチンである。
プーチン政権は、
(1)様々な使用料を徴収し
(2)その使用を国家の戦略的目的に集中させ
(3)使用料分配プロセスに付随する緊張をうまく管理

した。

それゆえ、ロシアの今後を考える上でキーとなるのは
1)石油ガスの高値が今後も続くか
2)プーチンが退いた後でもこの分配の仕組みが機能するか
の2点だ。

現在(2007年)の1バレル60ドルという原油価格は、今後少なくとも1年(2008年)は続き、それがロシアに潤沢な使用料をもたらすであろう。
使用料分配システムに関して言えば
1)様々な使用料の徴収 -国の税制に組み込まれて、厳密に実行されるだろう
2)国家戦略にあった利用 -プーチンは優先順位を決めた。後継者はそれを厳守するであろう。
3)分配プロセスの管理 -分配の原則は「公共の利益にかなうこと」であり、個人を太らせることではない。しかし国の利益を預かる同胞同士の争いにより、分配が堕落を生み出す可能性がある。強権の指導者が必要な由縁である。

もし石油価格が高値を維持し、ロシアでの利益分配が適切に管理されるならば、ロシアの繁栄は安定的なものとなるかもしれない。もちろん、いくつもの落とし穴を抱えてだが。

参考資料:
Gaddy Post-Soviet Affairs January 22, 2007, The Russian Economy in the Year 2006, Clifford G. Gaddy2

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ロシアの出生率と死亡率

ロシアの人口は減少している

出生率の低さや死亡率の高さ、移住
などで毎年70万人が減少していて、その数は出生数を上回っている。

Jinko_3  

現在のロシアの人口は1.4億であるが、2030年までに1.3億、2050年までに1.1億と減少傾向にある。 火急に最も懸念されていることは、徴兵年齢の男性の減少だ。このままの減少が続けば、10年以内に18歳人口は今日の半数になる

プーチン大統領が出生率に異常にこだわるのもこの理由による。彼は2006年の年次教書演説の中で、出産ボーナスの支給など、国家による「出産奨励」を打ち出した。

しかし、ここにも落とし穴がある。数字はロシアの人的資源に関する本当の問題をあらわしてはいない。ロシアの人口減少の裏には、様々な要因があり、出産奨励対策はそれらにうまく対処できるとはいえない。

ロシアの男性の死亡の実態がどれほど深刻であるかを伝えるのは難しい。

現在のロシア人男性の期待寿命は1950年代初めのスターリン時代に匹敵する。 ロシアの主な労働年齢である25~55歳までの男性が、他の先進工業国にくらべ、はるかに高率で死亡している。特に若い20代、30代でその差が大きい。

25~34歳におけるロシア人の死亡率は、アメリカ合衆国のそれの約5倍も高い。
ロシアの35歳男性の死亡率は、スウェーデンや日本の60歳時の死亡率に等しい。

高い死亡率の理由は実に複雑であるが、アルコールが大きな要因となっていることは確かである。 あまりに多くのロシア人の男性が、死ぬまで飲み続けているのだ。

アルコール問題について一つの数字を挙げると、現在のウォッカの価格は1988年のゴルバチョフ時代のおよそ10分の一である。

アルコールの値下げの動きは、ゴルバチョフの反アルコール政策の失敗のあとで起こった。しかしプーチン政権下でそれが促進された。

1999年プーチン大統領が就任した1999年当時、労働者の平均月給で28リットルのウォッカを買うことができた。現在は人々はウォッカを月に78本買うことができる。

これが、30代男性の死亡率がプーチン下で48%も上昇した理由と見られる。

参考資料: Gaddy Post-Soviet Affairs January 22, 2007, The Russian Economy in the Year 2006, Clifford G. Gaddy2

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貧困や複雑な家庭事情が原因でアルコール漬けになっている、一見して分かる中毒者は、私の知人の中にも2003年ごろまで散見された。
出会ったときはシラフで、しっかりした人に見えたが、後日会うと、いつも酒臭い、ということがあり、仕事もプライベートもいっしょにはできなかった。
なぜか最近は、路上でも中毒者をほとんど見かけなくなった。
死んでしまったんだろうか・・・。

会社(オフショアIT企業)の若い社員は、社内のパーティーでもほとんど酒を飲まず、ビールをたしなむ程度。ウォッカには口をつけない、という人が多かったので、若いエンジニアの間にアルコールの問題は少ないものだ、と思っていた。

しかし、平日飲まない人も、休日には朝から酒びたり、という実態があるのに気づいた。夏休みなど長い休暇中は、休みなしにビールを飲んでいるようだ。酒に強い体質だから、ビールやワインは水代わりともいえるが、酒には依存性がある。人生の難問に突き当たったら、ビールがウォッカにかわり、抜け出せなくなることもあるだろう。

生涯が波乱に満ちていること
酒に強い体質

これがロシアのアルコール問題の要因だと思う。

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宇宙の何を見るか。

8月13日、夏の祭典ですね。
この蒸し暑い時期、星見やジャズや花火大会ではしゃいでたなぁ・・・

と昔のことが、まるで前世の記憶のようによみがえってくる。
ロシアでも星は飛ぶんだろうけど、なにしろ寒い。
今夜の予報では、気温が+8~10度。変わりやすい曇り空。

ロシアにも天文少年が多いが、
興味の方向が日本とはかなり違っている。

宇宙飛行士になって火星の開発をする、とか
技師になってロケットや人工衛星を作る、とか
物理学者になって宇宙理論を研究する、とか
日本人にとっては別世界・・・
でもロシアでは、
目的を持ってその分野の勉強をすれば、普通にそういう仕事に就ける。

ただ、
宇宙飛行士は競争率が高いし、なればなったでハードな仕事。
ロケット(部品)を作る工場なら、ノボシビルスクにもある。
物理学者・・・学者の待遇は最低で、下積み生活が大変。

流星を追う、とか
彗星を見つける、とか
星の写真をとる、とか
日本で大人が熱中しているような
そういう趣味や専門はロシア人には無いようだ。

Image03_2 「少年科学者の百科事典」という絵本シリーズ。
子供向け・・・いやいや、かなり専門的。
「作ってみよう、やってみよう」
という実験が多く、
専門的で子供だましではない。

ロシアでは航空や宇宙の仕事を身近に感じ、
専門的な数学や物理の応用分野を
子どもの頃から興味深く学ぶことができる。

日本では、望遠鏡の映像から天文に興味を持ちはじめる子どもが多いが、
ロシアでは飛行機、ロケット、宇宙飛行士、宇宙基地など
メカニックに対する興味から天文に進む子が多いようだ。

 

Image05_3 Image07 Image08
望遠鏡の原理
と観測の準備
太陽のしくみ
と観測
隕石クレーター
Image11 Image10_2 Image12
人工衛星 重力 スペースシャトル
Image13  Image14  Image15
 火星探査機 宇宙ステーション
の自転実験
ジェットエンジン
Image15_2   Image17 Image20
ジェット機の
飛行原理

飛行機の操縦 飛行機の操縦

説明もかなり専門的だが、

ジュニア・マニアたちは
夢中で勉強するだろう。

かなわないなぁ~と思った。

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ロシア先端技術-国際シンポジウム in 仙台

Image02
東北大学創立100周年

および
東北大学・ロシア科学アカデミーシベリア支部
学術交流締結15周年

を記念して、
8月23(木)~25日(土)
仙台において、国際シンポジウムが開催されます。

8月23日(木) 10:00-17:40
ロシア先端科学技術に関するワークショップ

仙台国際センター
  日本ロシア共同研究事例紹介
  新エネルギー、メタンハイドレート
  熱電素子
  熱エネルギー変換、貯蔵材料、その他
 18:00-19:30  懇親会
  (研究やロシアに興味あるかた、ぜひご出席を!)

8月24日(金)  於 仙台国際センター
 9:00-17:00  専門分科会

  17:30-19:30  祝賀会

シンポジウムの詳細はこちらをクリック

8月25日(土)、14:00-15:30  市民講演会
於 東北大学内 金属材料研究所講堂
(入場無料 先着120名様にマトリョーシカプレゼント)

 講演1.露独考古学探検の現代的学際的研究
   アルタイ美少年発見・・・アルタイのミイラのお話?!
 講演2.輸入食品の安全確保を目指して~検疫所の仕事
   厚生労働省仙台検疫所 食品監視課長から最前線報告


Shiminkoen_3 市民講演会の詳細は左の画像をクリック

プログラム内容は当日、変更される場合もございます。
あらかじめご了承ください。


お問い合わせは
上記のPDFファイルまたはご案内画像に記載されている連絡先まで。

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以下、私のコメント:

同大学の東北アジア研究センター は、
北東アジア-日本、中国、朝鮮半島、モンゴル、ロシアのシベリアや極東地域-における、地域研究-文化、政治制度、経済活動、植生、地質など多様な分野-をバラバラにではなく(従来、研究活動というものはバラバラなものであるが)、相互の連携を保ちながら「一つの知の体系としての総合的に東北アジア研究する」という、ユニークともいえる理念をもって活動している。

専門家や研究者だけの閉じた活動ではなく、広く一般社会や経済界、個人の興味をも喚起し成果を還元できるよう「学術交流懇話会」が中心となってイベントや情報提供を行っている。

同センターが旗振り役となって、自然科学、人文科学の垣根を越えて、これらの地域の研究者同士の交流を促進し、研究発表の場を提供し、共同研究を組織し・・・これを既に15年続けてきた、ということは、非常に大きな意味があると思う。

これらの地域の科学研究の方向性に大きな影響を与えてきたのはもちろん、
国家反映のための科学
の理念を
国境を越えた人類繁栄のための科学
にまで拡大するものだと思う。

専門家同士の親交を深めながら、
同時に、一般市民の興味を喚起し、
最先端であると同時に
ロシアやシベリアに対する郷愁を呼び起こす
全く贅沢なメニューのシンポジウム。
しかもマトリョーシカのお土産付き!

同センターの理念を象徴するようなシンポジウムだと思う。

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アカデムガラドク研究所地図

アカデムガラドクにある研究所の画像入り地図をご紹介します。
Academ1
詳細画像のダウンロード(2.3M)

(academ.zipというファイルをダウンロードし、解凍してご覧ください)

アカデムガラドクの「ザラタヤ・ドリナ」ホテルをタクシーで出発し、30分ほどでこれらの研究所を見て回ることができます。

少し離れたところに、農業アカデミーやウィルス研究所もありますが、それはこの地図には載っていません。

日本の旅行会社を通じてノボシビルスクの宿泊手配をすると、「Academ2 ホテルは最高級のシベリアホテルだけ」という対応をされることがあります。

「シベリアホテル」はノボシビルスク市中心にあり、市内での活動には便利ですが、

訪問の目的がアカデムガラドクの研究所やIT企業の視察にある場合は、アカデムガラドクのホテルに宿泊されるようお勧めします。

市内に宿泊しアカデムガラドクに通うと、朝晩のラッシュに巻き込まれて、かなりの時間を浪費してしまいますのでご注意ください。

アカデムガラドクを訪問される日本人が増えますように!

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北極点は誰のもの?

新たな領土問題勃発か!?
北極点は誰のもの?

ロシアの潜水艇が 北極点の氷の真下に潜り込み、北極点の海底にチタン製の旗を立てた。モスクワは領土拡大を狙い、それはまさに北極点まで達した、というわけだ。

「今は15世紀とは違う。旗を立てたからオレのものだ、と主張するわけにはいかない。」 「これは、北極地域におけるカナダの主権をおびやかすものではない。こんなことには動じない。これはロシアによる、単なる見世物だ。」  カナダ外務省のピーター・マッケイ氏はCTVテレビでコメントした。

北極圏には5つの国(カナダ、ノルウェー、ロシア、アメリカ合衆国およびグリーンランドを管轄するデンマーク)の領土があり、北方の海岸線のまわりは320km(200マイル)の経済水域となっている。

ロシアは、極地の海底とシベリアは連結した一つの大陸棚だから、ロシア領の延長上にある、と主張している。

先月、カナダは、凍った海域で操業できる8つのパトロール船を建設するだろう、と述べたが、これは北極圏に膨大な未開発の石油ガス埋蔵地があると考えられているからだ。

Thu Aug 2, 8:49 AM ET

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高価なオモチャ(潜水艇)で旗を立てちゃった、えへへ

と、やんちゃに振舞っていれば、かわいげもあるものを、

いきなり

旗を立てたからロシアのもの

と領有権を主張するのは、 なんというか、

大人気ない、というか、馬鹿げている、というか、現代の文明社会の常識を超えている

こういうロシアの子供じみた振る舞いに、大人の態度で対応しなければならない各国は、本当にお疲れ様だ。

といいたいところだが、
もしかしたら、ロシアは、
この海域で宝(石油・ガス・その他)を発見し、

たとえ「ならず者」と呼ばれようとも、

なにがなんでもそれが欲しい
という事情なのかもしれない。

それにしても、チタンの旗を立てる、というこのやり方、
本当に嫌味だなぁ」、と思うのだが、
ロシア人は
どうして?まともじゃん!ひがむなよ!
と思っているかもしれない。

価値観が違う相手に、自分の価値感で話しをする、というのは本当に難しい。
ロシアが強国になるにつれて、ロシアの価値観が非常識ではなく、考えの一つ、に昇格するかもしれない。
そんな世界には住みたくない、と思うのだが・・。

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アカデミーシベリア支部の紹介文

Magazine
ロシア科学アカデミーシベリア支部が発行している「SCIENCE」という雑誌 ,
2007年第2号「First Hand特集」の編集長のあいさつを翻訳してみた。

アカデムガラドクの設立経緯、アカデミーシベリア支部の目標や現状などがコンパクトにまとまっているので、ぜひ参考にしていただきたい。

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本号はロシア科学アカデミーシベリア支部50周年を記念して発行されました。50年は、ロシア科学アカデミーについては言うまでもなく、人間の年齢としてみても、まだ老齢とはいえませんね。ロシア科学アカデミーは、1724年、ピョートル一世によって創設され、最初から国家の一機関であり、その点で、ヨーロッパのリベラルな学術団体と違っています。最初の総会の記録によると、アカデミーの主な目標は「科学を生産し実行すること」。第二の目標は「国家のために直接的な利益を作り出すこと」で、これはアカデミーの大臣であるA.H.Middendorfによって定められました。

これら2つの目標は、天然資源が豊富で巨大な面積を有するシベリアで、233年後に設立されたアカデミー最初の支部の目標としても非常にふさわしいものです。言うまでもなく、アカデミーがここに来る以前から、豊かなシベリアは、開拓者や探検者を引き付けてきました。もっとも、この土地の組織的な調査、つまり 北方の国の歴史上で最大の探検旅行、学術的なカムチャッカ探検は、はもっと後に始まりました。

シベリアとロシア極東をベースとする最初の前哨部隊は大学でした。1920-30年代、地方当局は、シベリアにアカデミーの支部を作るよう要請しましたが、それに対し、アカデミー支部設立特別委員会から、「アカデミーの支部をそちらの市に作るわけにはいかない。アカデミーのメンバーをそちらの都市に配置転換するなど考えも及ばない。そんなことをすればアカデミー自身が崩壊していう。新しいアカデミーメンバーを選出し、彼らを特定の都市に住まわせ働かせる、ということも不可能だ。」という旨の回答が届きました。

大変革は、第二次世界大戦時、多くの施設、工場、研究所がロシア中央からシベリアに疎開したときに起こりました。1943年、ソ連科学アカデミーの西シベリア支部がノボシビルスクに設立され、続いてイルクーツク、ヴラジオストク、ヤクートにアカデミーの支部が設立されました。シベリアの科学と研究の発展における実質的な大変革は、1957年ロシア科学アカデミーシベリア支部の創設によるところが大きいです。先進的な科学者や熱意ある大学の卒業生たちが、大規模なスケールで、自主的に首都(モスクワとレニングラード)からシベリアに移住しました。これは歴史上、他に例を見ない現象でした。支部の基本原則は、基礎研究、先進的科学教育機関における基礎教育、研究実績の実際的応用などであり、実際これらは、時と共に廃れていた元祖アカデミーの伝統を復活し発展させるものでした。

シベリア支部の原則により、様々な学問分野で優れた業績を残すだけでなく、科学アカデミーの組織としての危機を切り抜けて、それを新しい経済状況の発展戦略に適応させることが可能になりました。今世紀の初めから、いくつかの積極的な傾向が目に付くようになりました。R&Dに対する国のサポート増により研究機器の最新化が図られたり、研究と生産の間の交流を促すテクノパークや特別な経済特区が設定されたりしています。「科学研究はわが国発展の必須条件だ」という宣言以来、その言葉を実現するような幾つかの進歩がありました。これはつまり、研究者は、「国家に対する直接利益」を創出しながら、彼らの仕事を続けることができる、ということを意味しています。

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「科学」というロマン

ロシア科学アカデミーシベリア支部が発行している「SCIENCE」という雑誌 の編集長のあいさつを翻訳してみた。 すごくかっこいいなぁ、と思う私は変なのか?

Image01 50年前、シベリアの原野だったところに、科学者が集まり、研究所を作り、ひたすら研究三昧の生活をしてきた、その原動力が何だったのか・・・これは、私が今追及している謎の一つだ。

アカデミーの常設展示会場には、歴史写真ギャラリーもあり、シベリア支部建設当初からの写真や、多数の研究者の姿や成果が飾られている。

Image04このギャラリーに来ると涙が止まらない。写真の一人ひとりに聞いてみたい・・・「なぜシベリアに?」。
厳寒の冬に核のごとく燃える科学者魂。このような場所は、世界中のどこにもないと思う。

「シベリアの熊」という言葉がある。 これはシベリア人の粗野な性格を皮肉っていう呼び名でもあるが、 かつて都会(モスクワ、レニングラードの人)がシベリアに来たとき、研究所の周辺の森を熊が歩いていた、ということにも由来するらしい。

数年前、遺伝子細胞研究所の女性研究者リュドミラさんにインタビューする機会があった。
モスクワ大学卒業と同時にシベリアに来て、以来40年以上、モスクワへの郷愁にかきたてられながらもシベリアで研究を続けてきたそうだ。

Pet240年以上の研究生活をアカデムガラドクで過ごし、家庭も持ったリュドミラだが、今でもシベリアの生活に馴染めず、モスクワを思い、望郷の念に打ち震える、という。なぜモスクワに帰らなかったのか、と問うと「動物が好きで研究がおもしろかったから」と言う。「転職など一度も考えたことがない」と言うが、そういう時代でもあったのだろう。
(「40年の研究からペットギツネが誕生」より)

強制ではないが、選択肢がない人生。
閉鎖環境で研究に専念するしかない人生。
あらゆる分野の科学者が集い、あらゆる場所であらゆるテーマで白熱した議論が続けられている社会

さて、余談はさておき、 編集長のあいさつ(その1)をどうぞ。

---------
親愛なる読者諸君

残念なことに、科学的なロマンは今や時代遅れで野生的だと思われている。今日、抒情詩人や自然科学者は他の職業ほど高い評価を受けていない。人々は金銭を数え、儲けのことだけを考えている。

基礎研究は即効の見返りをもたらさない。基本原理の発見から現実世界での応用までの道のりは極めて長く、そして困難だ。しかしこの困難かつ興味深い仕事は、将来、報われるだろう。

我々は科学を明確に、分かりやすく、できるだけユーモアのセンスをもって論じるつもりだ。 ユーモアがどう関係するかって? あらゆる科学的探究はとてもおもしろく、今まで知らなかったこと発見や、新しい知識の開眼の喜びをもたらす。

本当の科学者は常にこの喜びを共有し、周囲の世界を広く開かれた目で見ることの出来る人々からのフィードバックや異論を得たいと望んでいる。 そのような科学者がこの雑誌に貢献し、そのような読者を友にもてれば幸いだ。

この雑誌はシベリアで作られている。 ロシア科学アカデミーシベリア支部が主導者で、彼らの甚大な研究ポテンシャルがこの雑誌に反映されるだろう。

我々は今でも、偉大な科学には国家も分野の境界もない、と信じている。これはこの雑誌のもう一つの原則だ。

科学のロマンの時代が再来するよう願っている。 現代社会は科学上の業績を基礎として成り立っており、今日の人類の存在は科学なしには想像もできない。 研究ではインスピレーションが必要とされるから、退屈などしている暇はない。科学には常に、ロマンと情熱の余地がある。

さあ、「SCIENCE First Hand」をお読みあれ。発見し、驚き、我々と喜びを共にしよう。

Academician Nikolai L. Dobretsov
Editor-in-Chief

編集長もかっこいいから、ここも見てね。

Image11最初のゼミナールはこんな風だった。
左から、E.A.アントナフ、M.M.ラブレンティエフ、チュニチャオ(院生)、P.P.ベリンスキ、B.M.クヂノフ。1960年。写真:R.アフメロバ

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テクトニック・モデルとしての氷震

月刊誌「SCIENCE(サイエンス)」から興味ある記事を要約して紹介。

地震予測のための天然の研究室としてバイカル湖の結氷の利用

Icequake

非常に変化しやすい構造と機械的な属性をもつ春の氷は、プレート運動のモデルとして最適である。春に氷のブロックが衝突する様子は、地震のときのプレートの衝突に似ている。

テクトニックモデルとしてのバイカルの氷」プロジェクトは、2005年にNikolay L. Dobretsovの先導で始められ、トムスク、イルクーツク、ノボシビルスク、ウランウデにある6つの研究所の研究者による共同プロジェクトとして進められてきた。

課題は、地球の地殻、特に地震の動きのプロセスモデルとしての湖氷の変形、破砕、機械的破壊の研究である。

 2地点の氷のサンプル、ブロック、プレートの変形に関する実物大の実験では、地震、音響、ひずみ効果に起因する破壊を扱った。付随する動的な影響 -ここではアイスショックと呼ぶ -がテクトニック地震と類似していることから、大きな(主な)割れ目の形成に特に注意が払われた。

 バイカル湖の淡水の氷は様々な機械的および流動学的な特性をもち、それらが地殻テクトニクスのモデルの信頼性を高める。

このプロジェクトの成果は、氷横断の安全性あるいは岸壁構造物に対する氷の被害の緩和などの実際的な問題にも応用できる。

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私が印象深く思った点:

1.自由な研究環境

トムスク、イルクーツク、ノボシビルスク、ウランウデにある6つの研究所の研究者が横断的にプロジェクトに参加できる、という柔軟性。一つのテーマについて異なる分野の研究者がそれぞれの観点から研究し、結果をもちよって総合的なモデルを作る。それが、広く科学アカデミー全体の人脈の中で情報交換が行われ、師弟関係による拘束や強制のない自由な雰囲気のなかで、研究者が自発的に集まって研究チームが組まれる。

 このような柔軟な研究環境があり、それがうまく機能できる、というのは特筆に価すると思われる。

2.地震はどうなったのか 

応用分野として紹介されている「氷横断の安全性あるいは岸壁構造物に対する氷の被害の緩和」などは実際的な問題であり、これらに対してなんらかの知見が得られるのは歓迎すべきことではある

 が

この記事のサブタイトルにある「地震予知のための天然の研究室としてバイカル湖の結氷の利用」に関する具体的な言及がない。

地震の話はどこに行ったのか。

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女性の香り

Image03_2ロシア科学アカデミーシベリア支部が発行している月刊誌「SCIENCE(サイエンス)」。

今月(7月号)の「科学ニュース」からピックアップ。

インフルエンザ感染時の男性の抵抗性に及ぼす「女性の香り」の影響


インフルエンザに感染したネズミの40%近くが、感染から4から6日で死に至る。
ところが、 「 女性の香り 」を与えられた男性(ねずみのオス)は、感染後も100%生き残った。

という動物実験の報告。

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女性といっしょにいる男性は、抵抗力が高まるってこと?!

なんとなく、うなずける理論ではありませんか?
(えっ、相手の女性にもよる?)

女性の香りの化学的成分によるものなのか、 それとも心理的(リラックスするとか)効果で抵抗性が高まるのか。

女性も男性がいると、抵抗力が増すのか?
もし心理的にリラックスした結果、抵抗力が高まるのなら、 猫でも代用できるものなのか?
ぜひ、研究の続報を知りたいものです。

Image02_2

 

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トライアルのすすめ

ロシアをオフショア開発地に選ぶ場合、
・開発センターの建物、設備、開発環境に対する投資がいらない
・人材トレーニングのための投資がいらない
・プロジェクト管理、進捗管理に日本から人やノウハウを送る必要がない
・リモート開発環境の整備を日本側から指示する必要がない

ロシアのオフショア開発受入企業には、すでに
・セキュリティー対策の施された開発オフィスがある
・最新の開発環境(ハード、ソフト、周辺機器など)がある
・多様かつ高度な人材がそろっている
・データの移行、納品、進捗報告などリモート環境で共同開発するためのインフラとノウハウがある
・開発手法、プロジェクト管理、テスト技法などを熟知し、適切な管理人材もいる

だから、ロシアにアウトソースする場合は、
ただ、開発案件と要求を送るだけ。
ロシア側がそれを開発して納品する。
その間の交渉は、通訳やブリッジSEを通じて行う。

費用的に見た場合、「開発工数に対する対価、(1時間20~25ドル)」で全てまかなえます。
時間的に見ても、日本開発企業に出すのと同程度か、文書の翻訳時間分(数日から1週間)延びる程度

オフショア先としてロシアはどうか・・・などと深遠なことを考えずに
6ヶ月程度の工数のトライアル案件を打診してみてはいかがでしょうか。

3ヶ月の小さなトライアル案件では、ペーペーの開発者を割り当てられて、かえって混乱する恐れがあります。
開発能力を評価するには、少なくとも2名以上のプログラマとプロジェクト管理者からなるチームで2,3ヶ月かけて開発するような案件が適当です。
日本語による仲介がうまく機能し、要件にあった実装(期間、費用、品質)ができるかどうか、契約など法的な手続きが許容範囲内か、などトライアルの成果をみて判断できるでしょう。

相手を決めて、箱を作って、人を集めて・・という準備なしに熟練した人材プールにアクセスできる、ロシアオフショアを試す企業が増えるよう願っています。


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芭蕉とドストエフスキー

ロシアのドストエフスキー日本の芭蕉(俳句の大家)の違いを実感している。

ドストエフスキーは、現実の現象であれ人間の心理であれ、顕微鏡で見るがごとく細かいところまで想像力によって描写し、延々と長い小説を書く。
読者は小説に示された深い洞察力に感心し、そこから得るものも多いが、読み終わった後で、「結局何だったのか」と途方にくれてしまう。
何かすごいことが書かれていたようだが、すごいことの100倍もの量のどうでもいいことがあったので、何が大事なのか見えなくなってしまった。」

一方、芭蕉の俳句、5・7・5の17文字からなる詩の世界はどうだろう。
「なつくさや つわものどもが ゆめのあと」
これだけで、読者の心には
 過去の戦場の(想像上の)記憶、
 そこから現在までの時の流れ、
 過去の兵士と自分を重ねた共感、
 歴史の無常さ、
 草原の草の香り、
 風に揺れる草の音、
 夏の夢の余韻(ぐったりと目覚めたときのけだるさ)、

おそらく芭蕉自身がイメージしなかったことも含めて
いろいろな感慨が浮かんでくる。

しかし「短い言葉からイメージを膨らませる」というのは、
一つは漢字文化によって醸成される能力であり、
一つは日本のように、短歌や俳句を鑑賞する訓練を受けたものが体得できる能力であり、
更に、言葉からイメージを感じ取る感性が開かれている者にのみ明かされるイメージであるから、
ドストエフスキーを教材に育ったロシア人に読ませても、
何がおもしろいんだかさっぱりわからない
となる。

 (ロシアにも芭蕉や蕪村の俳句に魅入られた芸術家がいる)

能力、という点で見たとき、おそらく、
長文文化で育った人は、100ページもの長文文書を読みながら、
「本当に大事な10ページ分の情報」を的確に抽出し、
どうでもよい90ページ分の情報を読み捨てる、

という能力が自然に身についているのかもしれない。
彼らは、100ページを読んでも混乱なく、要点だけを自分の言葉で次の議論に持ち込めるのだ。

日本人は、長文読解の授業において、長文を分解して短い「要点」にまとめ、「要点フロー」をノートに書き出し、その簡略化された要点フロー全体図を見てようやく、全体像を把握し、要点も把握できる。
ところが、要点を把握しても、それを自分の言葉で筋道立てて言うことができず
またぞろ、紙の上に要点フローを書き出して、図の上で説明しようとする

しかし、ことロシア人を見る限り、図示されたフローから彼らは情報を読み取れない
表や図を多用した「仕様書」を渡すと、「ここには仕様が書かれていない。詳しい仕様を伝えてくれ。
と反発する。日本人はますます、仕様を詳細化してそれを表や図で表して出してくる。

逆に、ロシア人が書く、長文の仕様書、説明書には、重要なこと3割、どうでもよいこと7割が混合しているから、日本人は情報を読み取れない。
しかもロシア人が書くものには、図や表がなく、ほとんど全て長文の文章だから、日本人が読んでも頭に残らない。
日本人が、「要点がわからない、わかるように説明して欲しい」と要求すると、
ロシア人は100ページの文書を更に詳細化し、150ページに膨らませて出してくる。

そして、お互いに相手から受け取る情報が理解できず、議論すればするほど平行線をたどり、やがて
「ここまで説明してもわからないとは・・日本人(ロシア人)はなんてバカなんだ!」と憤怒にかられる。

私自身、ロシア人とやりあっていて、次第に長文になる仕様書が、段々理解できなくなり、「私ってバカなのかなぁ」と疑心暗鬼にかられたことが何度もある。一方で、明確に描写された図や表による仕様をロシア人がいつまでも理解しないので、「こいつらバカか!」と憤怒したことも一度ならずある。
(ロシアでは魚を食べないからバカになるんだろうか・・と真剣に考えたこともある)

図示が好きならば、UMLなどモデリングのための標準手法を使って仕様を説明すればいいのだが、日本人は教科書通りの記法ではなく、自己流の記法で仕様書を書く。
日本人同士では、「変な書き方だなぁ」と思いながらも、「なんとなくわかる」から議論に進むことができる。

このような問題を認識した上で、Novosoft時代、オフショア開発の現場で私がどうしたか、というと:
日本から届いた記号の暗号からなる仕様書を、ロシア人がわかる文章で書き直し
ロシア人が作った文章だらけの仕様書を、日本人がわかるように図表化し
それぞれがわかる表現に変換した上で相手に渡した。

この作業は、仕様を明確化する上で非常に効果があった。
ダイアグラムを見ることで、機能の抜けや不足を発見できるし、
文章化することにより、曖昧部分を明確化できる。

日本から届いた仕様書を転記する際、仕様の抜けや間違いを日本の担当者と協議して明確化した上で開発者に渡す。
ロシアから日本に送る成果物についても、日本に送る前に私が抜けや間違いをチェックして、開発者に修正させる。
この情報の転記をする際に、日本人ネイティブとロシア人ネイティブが双方の疑問点を解消しあう、という手続きも必要だ。どちらか一方のやりかたを相手に強制してはいけない。
結局、最終的な仕様書は、ダイアグラムと文章の両方が併記されることとなる
(それでも、ロシア人は文章しか見ないし、日本人は図表しかみない)。

オフショア開発で使う言語についても、同様の問題がある。
仲介の英語を使わずに、
日本人にはネイティブ日本人が書いた日本語、
ロシア人にはネイティブロシア人が書いたロシア語

で情報伝達するのがいい。

その際、日ロ間で消化不良やメンタリティの違いが現れたら
二人の言語仲介者(ロシア語がわかる日本人と日本語がわかるロシア人)が、相互に納得するまで話し合い、それぞれが納得した結果を納得に至ったプロセスともども、自国のスタッフに伝えるのがよい。

オフショアに携わっているロシア人はよく、
英語運用能力が高くて、顧客とスムーズに交渉できる
ようなことを自画自賛しているが、

私からみると、ロシア人の書き、話す英語はめちゃくちゃだ。
ロシア人の英語は、発音がいいし、日常会話レベルの会話は流暢にできるから、英語がうまい!と錯覚をおこしそうになる。またIT分野のように論理的な説明をする場面では、英語文献をアメリカ人の10倍は読みこなしているロシア人技術者の方に軍配が上がる。

しかし、ロシアのIT技術者の多くが英語で十分コミュニケーションできる、というのは、私の観察とは矛盾する。
幼少時から英語教育を受け、アメリカに長期滞在したりして、ネイティブレベルを獲得したような人が窓口になっている場合は、ネイティブからも賞賛される。
しかし、ロシア企業の英語サイトをみていると、なんだこれは・・と思うような英語に出会うことも少なく無い。
私は英和翻訳の仕事をよく頼まれるが、米国人が書いた英語原稿は非常に読みやすく、ほとんど滞りなく日本語に変換できる。しかし、ロシア人が書いた英語原稿は何かが違っていて、私の中の自動翻訳装置が働かない。

日本人が、外国人の日本語を、たとえ片言であったり、変な言い回しであっても、なんとなく彼らが言おうとしている本質を理解できるように、米国人は、ロシア人の変な英語をよく理解できるのだろう。ネイティブ対外国人なら問題はない。

しかし、日本人とロシア人が、英語を仲介言語に選んだら、
双方の能力不足からあらゆる場面で誤解と摩擦を起こすだろう。
だから、日本人には日本語で、ロシア人にはロシア語で、という体制をすすめたい。
日本語、ロシア語の技術通訳を育てる、ということにこそ、投資をしてもらいたいものだ。

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長期的展望はあるか

中国やベトナムをオフショア開発地とする場合、まず現地に箱(開発場所)を作って、パソコン等機器類を設置し、要員を集めて一からIT教育を施し、一部を日本に呼んで研修したりプロジェクトでOJTを積ませたり、そんなこんなで、1年近くもかけて投資し準備した後で、ようやく現地要員がプログラムらしきものを組み立てられるようになるのだろうか。

時間とコストをかけて準備したあとで
「ここは使えない」
と悟ることもあるだろう。

長期的に見れば、
「当初の1,2年マイナスであっても、後の10年で元が取れればOK」
という考えも成り立つかもしれないが、

今、日本国内でも人材の流動が激しく、3年以上企業にとどまらない若者が増えている。
まして外国となれば、会社に対する忠誠心など望めようもなく、
技術を身につけたら他企業にスピンオフされるのは目に見えている。

会社そのものも、10年先どころか、来年の今頃どうなっているのか・・・(かつてはそんな疑心暗鬼は生じなかったものだが)。
為替変動、企業買収、パートナー企業の方針転換(開発をオフショアに)、会社の醜聞事件など、事業と直接関係無いところで、企業の運命が決められることもある。

かつては、
「たとえ歯車のひとつであっても、会社に忠誠を尽くすことで、会社とともに発展し、社会に役立つものとなる」
という志がもてた。
今は、やっていることが何の役に立つかもわからず、とりあえず日々の糧を得るために会社に通っている、という人も多いだろう。
会社が、会社の将来や社員の教育に投資する、ということが、かつてほどの効果を上げない時代になっている。

長期的視野で、育つかどうかわからないオフショアセンターにエネルギーをつぎ込んで、そろそろ活用できるかな・・と思った頃には、
世間の流行がかわって、別のオフショア開発地に鞍替えを迫られ
別の担当者が割り当てられ、また一からやり直し・・ということになるのではないか。

そもそも「長期的視野」のなかに、フィージビリティ・スタティ(実現可能性調査)とか、リスク分析とか、予測可能な部分の予測と対策立てができているのだろうか。
他社がやっているから、細かいことは後で考えることにして、とにかく始めましょう」となっているのではないか?
「やっているうちになんとかなるのではないか」というばら色の人生を夢見ているのではないか。
「長期的視野」により、問題を将来に持ち越しつつ、「長期的展望」がないから、露見した問題に対症療法であたり、当初の目的も忘れてしまう

もちろん、現時点で将来の問題を予測するのは難しいが、
「中国にアウトソースして、うまくいくか」
「沖縄で人材確保できるか」
「ベトナムに開発センターを作って、うまくいくか」
という程度の「予測」ができなかったものだろうか。

とりあえず場所を確保して、箱を作って、人を集めて、教育して・・・いろいろやっていく中で、足りない部分が露見するので、それを補充すべく対策をとり・・・管理者を派遣、要員を日本に呼んで研修、金をつぎ込み、etc。

もちろん、成功への道筋を考え、相手市場やメンタリティの違いも研究し、起こりうるリスクへの対策を事前に準備し、その上で大きな収益を上げる、というビジネスモデルを実現できている企業もあるだろう(寡聞にして知らないが)。
しかし、オフショアの障害として、いまさら「言語やメンタリティの問題」を言っているところをみると、事前準備が足りなかったのではないか、と疑いたくなる。

システムの仕様を考える場合でも、開発前にじっくり仕様を練る、という根気がないから、
とりあえず着手できるところから開発を始めて、後で必要に応じて細かい仕様を考えましょう、となる。

日本企業のサクセスストーリーには、
展望もなくとりあえず始めて、現場担当者がいろいろ工夫して問題を解決し、会社がそれを見守り、何年もかけて研究開発を重ね、商品化したら爆発的ヒットになった、というのが多い。
現場担当者の滅私奉公、会社の寛大さ、アメリカをもしのぐ製品開発・・・これは話としてはおもしろいが、それとて、「結果が報われる時代」だったから可能であり、美談にもなり得たのだ。

問題を言うのは簡単だが、じゃ、どうすればいいのか、を言うのは難しい。
世の中がどんどん変わり、どこから手を付けたらいいのかわからない。

しかし、私は、
こと会社の事業に関する限り、一番重要なことは、
「トップ経営者の考え方と覚悟」であり、
さらにトップ経営者の考えを実現する組織作り、だと思う。

このような混乱の時代であっても、
生き残り成長し発展する企業は必ずある。
後から彼らのやり方を学んでも、あまり意味がない。

生き残り成長し発展するために、
今の時点から、他者とは違う考えと覚悟をもつ、
実行前のフィージビリティ・スタティ(実現可能性調査)、リスク分析と対策立て
NASAが火星に有人ロケットを送るとき、ぐらいの厳密さで
・・・それは無理としても、とにかく
「現時点で可能な限り最大限の」予測を立てる、という努力をしてみたらどうだろう。

なんといっても、もちろん「会社の将来や社員の教育に投資する」必要がある。
その場合でも、フィージビリティ・スタティとリスク分析を徹底し、「当たり前すぎる失敗をしない」という、おりこうさんなところを見せて欲しいものだ。

さて、ロシア。
事前調査なくロシアに足を踏み入れたら、
3歩と行かずにズブズブと足をとられることになるだろう。
(ロシアに日本の新幹線を・・・危ない危ない・・・)

しかし、需要・供給の両面において、ロシアのポテンシャルは大きい
私は、ロシアは、アメリカに並ぶ大国に成長すると思っている。
ロシアが大国化するにつれて、「ならず者のやり方」が世界に浸透していくと思う。
今は「非常識な国」に見られているが、
そのうち「そのやりかたもアリ!?」に変わり、
やがて政治的にも経済的にも無視できない影響力を行使しはじめるだろう。
腹が立つが、ロシアを認めないわけにはいかない。
その上で、どうやってこの「ならず者」と対決し共存していくか
この戦略ゲームに、私はプレーヤーとして立ちたいと思っている。

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規模の大きいロシアオフショア開発企業リスト

IDCの調査レポート「オフショアソフトウエア開発場所としてのロシア:これが次の動向になるか?」から抜粋した、ロシアオフショア開発企業のリスト

各社それぞれ、分野や得意技術の特徴はあるが、ここでは企業規模にしぼって情報を整理した。

確か2003年頃のロシアオフショアレポートで「IT企業同士の合併による規模拡大が今後の課題」とうたわれていたが、現在は企業統合による規模拡大が着実に実現してきているようだ。

また、2003年当時は、ヨーロッパからの受注が少ない(ヨーロッパにはアンチ・ロシア・アレルギーがある)というレポートもあったが、それが今では解消されて、ヨーロッパとの大規模な連携が増えているようだ。

私が読み取った特徴として
1000名以上の規模の維持・管理に成功している企業が増えている
オフショア開発センターの設立サポートサービスが増えている
・豊富な高度技術人材が「売り」で、そのトレーニングに投資している
・高い社員定着率(低い離職率)や、高い顧客定着率を達成している企業がある
顧客との密着性を特徴としている
・米国のみならずヨーロッパからの受注が増えている
・ロシアのみならず東欧に開発拠点を持つところがある
顧客所在地(米国、ヨーロッパ)に本社、営業オフィスを持つところが多い。

日本やアジアをターゲットとしているロシアオフショア企業もあるが、
日本に所在する日本企業と取引が実現しているところはほとんど見当たらない。
まるで、日本は国際市場に存在していないかのようだ。

ロシアオフショア開発企業 の一覧はこちら。

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適切なオフショア開発パートナーを見つけるためのガイドライン

[情報ソース http://outsourcing-russia.com/docs/?doc=1388 の要約]

新規にソフトウエア開発プロジェクトを実施する場合、熟練したソフトウエア開発者を雇用し、本格的に仕事をはじめ、早期に利益を確保しなければならない。
才能のあるIT人材を確保するための潤沢な期間や予算がない場合は、アウトソーシング先を探し始める。
しかし、どうやって適切な開発パートナーを見つけたらいいのだろう。
ここでは、ソフトウエア開発パートナーを探し出す上で有益なガイドラインを示す。

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人材データベースではなく、ソフトウエア開発会社を選ぶこと

アウトソーシング企業の中には、実態は単なる派遣会社、というところが非常に多い。
そこではソフトウエア開発者ではなく技術プロフェッショナルを雇用し、それらを売上高で管理している。
そのような開発企業では、「Eコマースアプリケーションの開発のために、SQLサーバーでの開発経験のある.Netプログラマが欲しい」といえば、社内の人材データベースでキーワード検索し、何人もの候補者を見つける。

このやり方は、あなた自身がオンラインの求職掲示板でフリーのプログラマーを探す場合とほとんど変わらない。
このような会社に開発を依頼した場合、時間を節約している、とは言えない。
わずかな付加価値をつけて、必ずしも最適とはいえない技術者を提供してくる場合もある。
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継続(リピート)率 - 品質を計る指標として

もし開発パートナーが本当に「顧客の右腕」としてうまく働いたならば、顧客は継続して、その開発パートナーに仕事を出すはずだ
顧客の案件に対して、一貫して優秀な同じ人材が割り当てられる、ということが肝要だ。契約ごとに開発者を変えるならば、顧客への忠誠心や強い連帯感は生まれないだろう。

顧客が継続して仕事を出す、という場合、当然、以前の開発で満足のいく働きをした技術者をもう一度使いたい、と望むはずだ。
一流の会社は優秀な人材を抱え込むために、有利で包括的なパートナーシップを提案したり、開発企業のトップに持ち株制度を提案したりする。
優秀なITプロフェッショナルは、トレーニングや専門性向上のために投資を惜しまない企業にひき付けられる。

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見えないコストを知ること。
1時間90~125ドルと1時間20~40ドルの差は明白なことのように思えるかもしれない。
これはアメリカの単価と、インド、中国、その他安いオフショア開発地の単価だ。

しかしこれは、リンゴ対リンゴ(同一条件)の比較ではない
調査機関IDCによると、オフショア開発を実施している企業が直面する三大ハードルに、「時差、言語障壁、文化の違い」がある。

実際、仕様を詳細にいたるまで明確にまとめて文書化できるならば、オフショア開発もスマートな選択といえる。
しかし、問題のありそうな仕様も、そのまま放置され、その通りに開発されてしまう、という危険性がある。
上位者に質問しにくい、という文化的な抵抗感や、言語の障壁から、十分な質疑応答を経ずに、間違った翻訳のまま要件が伝わってしまうかもしれないのだ。

25名以上の開発者を必要とする大規模な開発プロジェクトで、理解しやすく文書化しやすい要件仕様で、どこにでもあるようなアプリケーションを開発するならば、オフショア開発は経済的に有利かもしれない。
100000時間(人時)の開発で1時間25ドルのレートであれば、その経済効果はかなりのものである。

しかし、ビジネスのコアとなるような革新的な新しいソフトウェアを開発する場合、要件を事前に定義するのは難しい。
これらの「crown jewel(目玉、魅力ある事業部門)」プロジェクトの場合は、欠陥を識別して修正し、要件に合うよう微調整するため、反復開発がふさわしい。
このような開発は、オフショアではなくホームで行うべきだ。

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固定時間/固定金額のプロジェクトに用心

固定金額の魅力は明らかだ。
工数積上げによる金額決定では、開発企業の都合で工期が延長され、エンドレスに費用がかさむような不愉快な印象がある。
ソフトウエア開発の予算が15万ドルのときに、誰も上司に、17.5万ドルにまで費用が増えるかもしれない、とは言いたがらない。

もし契約が固定金額であり、発注者が追加費用を絶対に認めないならば、開発会社はいくつかの困難な選択を迫られる。
プロジェクトの終わりが近くなり、見積以上の工数が見込まれる場合、開発側はプロジェクトの利益を確保するために、単価の高い「ロックスター」をチームから外し、安くて経験の少ないスタッフを投入せざるを得なくなる。
結局、固定金額は必ずしも「安い買い物」とは言えなくなる。

理想としては、ソフトウエア開発会社は、顧客の予算を尊重して、その範囲で最大の効果をあげられるよう最善を尽くすことだ。
開発企業が顧客の意思決定プロセスに関与し、見込まれる予算とリソースについて顧客と常に協議した上で、工数積上げで金額を決めるのがベストである。

早めにプロトタイピングを行いプロジェクトの目標を明確にすることによって、開発パートナーはその仕事に必要な工数を見積もることができる。
そして範囲を明確にしながら、なんらかのトラブルを予期して、±10%を見込むのがよい。

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ロシア企業に見積を依頼すると、「予算はいくらですか」と聞いてくる。
(それを先に言ったら、こちらの戦略上まずいでしょう)・・・と思うのだが、

路上で野菜や果物を売っている人も
「このリンゴ、いくらですか」
と聞くと
「あんた、お金をいくら持ってるの?」
と聞き返してくるから、
これはロシアでは普通のやり方なのかもしれない。
ただし、少なくとも路上では、こういう売り手は淘汰されて、今は姿がない

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評価のモノサシ

「ロシア人は仕様以上のことを解決しようとする。」
「問題は何ですか、問題がわかれば解決方法を見つけましょう。」という。
「ほとんどの米国の会社は、彼らが何を探しているのかを知らないので、彼らが定義できないものを認識するのは難しいです。多くの会社はまだ、何が必要かを理解していません。彼らは仕事探しをしているのです。」

(モスクワのルスソフト(協会)会長、マカロフ氏の言葉)

 

エンジニアとして、こう言いたくなる気持ちはよくわかる。

多くの一般企業は情報技術専門ではないから、コンピュータを使って何が出来るかを知らないし、マネージメントやマーケティングの専門知識をもたずに暗中模索で営業を続けている。

そこに対して、情報技術やマーケティングの専門知識をもった技術者が、優越感をもって何かアドバイスできる、と考えたくなるのもうなずける。

世の中には確かに、マーケティング手法、経営手法、ORなど、ある手法に基づいて分析すれば、自然に問題が見え、解決方法がわかるものもある。

分析なしに成りあがり的に発展し停滞を迎えた企業なら、分析によって問題を明確化し対策をとれば、劇的な効果が上げられるかもしれない。

そのような仕事を請け負う、ビジネスコンサルティングという職種もあるし、

日本で業務システム開発をする場合は、現行業務分析や要件分析が開発の中に組み込まれていて、そこで業務の最適化が図られる。

 

しかし市場というものは、情報技術やマーケティング、マネージメントの知識や技術があればいかようにもコントロールできるほど単純なものではない。

そのような手法を駆使したにもかかわらず、市場競争の中で苦戦している企業がたくさんある。

また、理屈でわかっていても、対策をとれない場合も多い。

そのような解決の難しい問題を、ロシアへの数ヶ月のアウトソーシングで解決できるはずがない。

 

市場経済に移行した後、ロシアのソフト開発企業は、ロシアの民間企業の業務システム開発をしないで、海外企業向けの受託開発を主に請け負ってきた。

その場合に受ける仕事は、ツール開発、基本システム開発、パッケージ製品開発など、現行業務の理解を必要としないものが多かった。

「業務系の開発」という場合でも、ゼロからの新規開発で、マーケティングやマネージメントの知識、技法を使って現行業務を最適化するだけで効果が得られるようなものが多かった(もちろん、手作業やExcelベースの仕事をシステム化、自動化することによって、大きな効果が得られる)。

ロシア企業の成功事例を眺めると、どうしても「簡単な仕事をやっているなぁ」という感を否めない。

そして、それらを成功させていることで、天狗になってしまっているのだ。

 

簡単な仕事、とは

・仕様が明確または具体的仕様がなくて開発者に「おまかせ」

・開発期間が十分長い、または開発者のいいなりになる顧客

・開発予算が十分多い、または開発者のいいなりになる顧客

 

難しい仕事、とは

・仕様が不明確、変更がある

・問題の所在がわからない

・開発期間が短い

・開発予算が少ない

 

ロシア人自身は、「難しい仕事が得意だ」という。

彼らの言う「難しい仕事」とは、最先端技術、数学や物理、工学の応用、解決不能問題など。

 

ロシア人がそればかりにこだわる「プログラムの機能、性能、品質が良いかどうか」、ということは、日本人が考えるプロジェクトの品質とは相関しない。

なぜなら、プロジェクトの目的は、期間、コスト、成果物の品質の三者のバランスをとって顧客目的を達成することであり、

期間、コストを最優先するかわり、プログラム品質を下げる、という判断も往々にして行われるからだ。

ロシア人の考えは逆で、品質を高めるために、期間と予算を増やすべきだ、となる

市場競争を勝ち抜く上で速効性があるのは、プログラム品質よりも期間、コストであることが多い。

市場投入タイミングを外したら、その後でいかに優れたプログラムを完成させようと、利益にはつながらない。

世界最高のものを作るためにエンドレスに開発を続けることも出来ない。

 

ソ連体制下では、教育、科学、あらゆる開発事業において、期間と予算の制約を受けずに、徹底的に課題を追求できる、という習慣があったのではないだろうか。

ほとんど不真面目に働く人々の中で、一部の優秀で勤勉で意欲のある人たちが、期間や予算に制約されずに理想的なものを開発しようとした、その結果が、ソ連時代に現れた世界的な科学・工学分野の成果に現れているのではないか。

そして今、世界に通用する物を作ろう、とするにいたり、ロシア人技術者は、期間と予算の制約を受け付けない、という習慣はそのままに、ただ世界最高品質を徹底的に追求する、という姿勢だけを特化させているのではないだろうか。

技術力が高い人のほうが、技術力のない人の何倍も早く仕事ができる、という意味では、工期が短くなる。同じ内容ならば、インド人や中国人よりも、ロシア人のほうが早くできることもある。

しかし、実現不可能な工期、予算を可能にするために品質を犠牲にする、という考えをロシア人は理解できない。

 

日本開発企業が3ヶ月で開発できそうな量の仕事に、ロシア人が6ヶ月から1年もの見積を出すときがある。

それは「仕事が遅い」というのではなく、日本人の予想とは全く違うものを開発しようとしているのだ。日本人には予想もできない「世界レベルの高品質のもの」を。

ロシア人は、それを作るにはそれだけの時間が絶対必要だ、短時間低予算では絶対できない、と言い張る。

お互いに、相手が作ろうとしているものをイメージできないまま、交渉が決裂する・・ということも、私は何度か経験してきた。

 

必要なリソースがない中で、普通以上の成果をあげなければならない場合は、教科書どおりの仕事では間に合わない。

アウトソーシングでは、見積段階で開発者に「不可能」と判断されれば開発は行われない。

しかし多くの企業が、「不可能を可能」とする別の開発者を探し出し、なければ自力で開発するなどして、不可能を可能にすべく必死の努力をしているものだ。

 

ロシアの開発企業が、海外ではなく、地元の企業の業務システム開発を請負い、その中で、

・プロジェクトチーム編成がまだなのに、2週間後に本社幹部の前でデモを見せなきゃならない

・何を作るか決まっていないが、予算の関係で3月末までに納品しなきゃならない

というような課題をいくつもくぐり抜けていけば、

品質、工期、予算のバランスを取って顧客満足を勝ち取る

という思想が理解できるようになるのかもしれない。

それには、さて、20年、30年はかかるだろうか。

当分の間は、ツール開発、基本システム開発、パッケージ製品開発でロシア人材を活用するにとどまるだろうか。

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ロシア・オフショアの活用法

情報技術、数学、物理、工学などコンピュータを使った開発に利用される知識は、地球人類の中で有限である。
時間と根気があれば、ひたすら知識を貯めこむことができる。
ロシア人技術者の強みは、米国発の技術情報を米国人以上に時間をかけて、大量に読みこなしていることにある。

Microsoft、Sun、Oracleなどの開発パートナーとなって、開発者向け情報を入手するだけでなく、インターネットのフォーラムなどで発信されている膨大な生情報を収集したり、場合によっては大手ベンダーの製品開発を直接請け負い、ベンダーの設計担当者以上に内部を知り尽くしていることもある。

このようにして知識を溜め込んだ人材は、今の地球人類が持つ情報技術のエッジ(縁)にいて、更にその先を見る目を持っている、といってもいいだろう。

全てのロシア人技術者がこのレベルにあるわけでは、もちろん、ない。
本当に優秀な人材は非常に少ない。
成功しているロシア開発企業には、優秀なCTO(最高技術責任者)がいて、開発要員に適切な指示を与えている。

ロシア企業に仕事を出す場合、
立ち上げ時にCTOが出てきて、彼自身が開発に責任を追う、という場合は信頼してもよい
(もちろん、それ以前に、開発企業やCTOの能力を審査しておく必要はある。)
CTO自身が設計を監修するならば、発注者は自社の開発に最高の技術リソースを活用できる、と考えても良い。

しかし、日本企業が発注する開発案件の中には、
最先端、高度、難易度の高い技術などを必要とせず、
ただ何となく組み立てていけばいい
、というようなものが多い。
このような緩い案件の場合、CTOは参加せず、開発企業の若手社員の経験作りに利用される。
若手社員にも優秀な人材は多いが、この程度の人材なら日本にもたくさんいるので、わざわざロシアに出す意味はない。

・ユニークな発想
・技術の周辺を突くような開発
・ロシアや欧米市場をターゲットとした開発
・世界市場向けのパッケージ開発

ロシア人の技術人材は、このような案件に向いている。

また、案件毎に見積をとって発注する、という方法では、ロシアの優秀な人材を確保できない。
ロシア企業の中で、本当に優秀な人材は欧米の長期プロジェクトに取られている。
ロシア人技術人材を最大限活用するのに一番良い方法は「チーム・ソーシング」
技術リーダーを含む数人のロシア人技術者を自社開発用に抱え込むことだ

ロシア開発企業の中には、「専用チームを提供する」という形で、このサービスを行っているところも多い。
外国企業は、案件の有無、規模にかかわらず、このチームを常時雇用する。
ロシア開発企業は、
一定の手数料をとって、チームに開発環境を提供し、雇用や給与、法的な手続きを代行する。

日本は、あらゆる規模のソフトウエア開発の歴史と経験をもち、日本でできること、中国を活用してできることも多いが、これからの世界市場を視野にいれたとき、ロシア人技術者の活用は避けて通れないと思われる。

それにしても、世界のIT市場に、Made in Japan のアプリケーションが少ない(ように見える)のは、残念なことだ。
日本には欧米人が予想もできないような「重箱の隅をつつく」ほど細かい、あるいは、「孫の手」のように「かゆいところに手が届く」、便利でマニアックな製品がたくさんある。
日本国内に出回っているアプリケーションを世界市場向けにカスタマイズする、という発想があれば、市場は大きく開けるのではないだろうか。

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